ご存知ですか?歯周病の全身に与える影響

ご存知ですか?
歯周病の
全身に与える影響

歯周病が全身に及ぼす影響

「歯周病って、口の中だけの問題でしょ?」
いいえ、実は全身の健康に関わる感染症なのです。
口の中にばい菌があるということは、飲み込まれたり、歯ぐきの血管からとりこまれ、全身に回っていくことがわかってきています。

その結果、下記のようなことが起きてくるのです。

1.狭心症・心筋梗塞

歯周病菌が、血管内でプラークを作ることがわかってきています。
「え?プラークって、歯垢でしょ?口の中しか出来ないんじゃない?」

いいえ、口にできるプラークは「歯垢(しこう)」ですが、血管に中にできるケースは「粥状の脂肪性沈着物」という意味になります。
それが血管をふさいでしまう「血栓(けっせん)」になってしまうこともあります。

また、歯周病菌が動脈硬化を促す物質を出すことも分かってきています。
プラークによって血管の中が狭くなる上に、血管が硬くなる(動脈硬化)というダブルパンチを歯周病菌は食らわすのです。
それが心臓でおきるのが、狭心症や心筋梗塞です。
血管が狭くなったり、ふさがってしまったら、血液供給がなくなり死に至ることもあります。

2.脳梗塞

狭心症や心筋梗塞は、血栓が出来たり血管が硬くなる場所が「心臓」での話でした。
これが、脳で起きたらどうなるでしょうか?
歯周病の人は、そうでない人の2.8倍脳梗塞になりやすいと言われています。
血圧やコレステロール、中性脂肪が高めの方はなおさら、歯周病治療と予防が重要になります。

3.糖尿病

糖尿病が疑われる成人の推計は約1,000万人とされるほど、患っている人が多い病気です。
(平成28年「国民健康・栄養調査」厚生労働省)
歯周病は以前から、糖尿病の合併症の一つと言われてきました。
糖尿病の人が歯周病になっている率は、そうでない人より多いという疫学調査が複数報告されています。
さらに、歯周病が糖尿病を悪化させるということも明らかになってきました。

糖尿病の人の歯周病は悪化が進む、さらに歯周病は糖尿病を悪化せせるという恐ろしいスパイラルが繰り広げられているということです。

逆を言えば、歯周病を治療することで糖尿病を改善させることもできるのです!

4.妊娠性歯肉炎

妊娠と歯周病は深い関係があります。
以下の二つのホルモンは、妊娠後期には月経時の10~30倍になるといわれています。

エストロゲン(女性ホルモン):特定の歯周病原細菌の増殖を促すこと、また、歯肉を形作る細胞がエストロゲンの標的となることが知られています。

プロゲステロン:炎症の元であるプロスタグランジンを刺激します。

なので、妊娠中期から後期にかけて妊娠性歯肉炎が起こりやすくなるのです。
ただ、歯垢がない清潔な口の中では起こらない、もしくは起こっても軽度で済みます。
なので、妊婦さんのプラークコントロールが大事になるのです。

5.低体重児早産

妊婦さんが歯周病の場合、低体重児および早産の危険度が高くなることが指摘されています。
歯周病菌が血の中に入り、胎盤を通して胎児に直接感染するのではないかと報告されています。
早産の確立は7倍にものぼり、喫煙やお酒、高齢出産などよりももっとリスクが高いのです。
歯周病は、治療も予防できます。
生まれてくる元気な赤ちゃんのために、歯周病治療は欠かせません。

6.誤嚥性肺炎

誤嚥性肺炎(ごえんせいはいえん)は、最近よく聞く言葉ではないでしょうか?
でもメカニズムは、なかなかわかりづらいのでは?
誤嚥性肺炎は、食べ物などが誤って気管や肺に入ることで起きる肺炎です。
本来、肺や気管には、セキをすることで食べ物や唾液が入らないようになっています。
でも、その機能が年をとると衰えるのです。
オーラルフレイル参照
食べ物だけでなく、お口の中の細菌をも肺に入ってしまうので、誤嚥性肺炎を発症してしまいます。
誤嚥性肺炎の原因となるバイ菌は、歯周病菌が多いといわれています。
歯周病予防が、誤嚥性肺炎の予防にもなるということです。
ちなみに、この肺炎が日本人の最近の死因の2位に上がってきています。

7.骨粗鬆症

骨粗鬆症(こつそしょうしょう)は、骨の強度がもろくなって骨折しやすくなる病気です。
日本の総人口の10%弱、約1100万人が骨粗鬆症で、その約90%が女性なのです。
閉経後に起きる骨粗鬆症というのがあり、これは閉経による卵巣機能の低下により、エストロゲン(骨代謝にかかわるホルモン)分泌の低下により発症するものです。
体の骨だけでなく、歯槽骨(しそうこつ:歯を支える骨)ももろくなります。
閉経後の女性は、たとえ歯周炎がなくても、エストロゲンの減少により、歯周病にかかりやすく、広がりやすい状態にあると言えるのです。

全身の健康のために、歯医者さんが出来ること

歯周病という名の「炎症」が、口だけでなく全身に多くの影響を与えることがお分かりいただけましたでしょうか?

歯医者さんは、お口の中の変化を診る事のできるプロフェッショナルです。
全身の変化も併せて読み取ることができます。

歯ブラシで取れる汚れは5割といわれるように、お口のケアを自分一人できちんと行うのは難しいことです。
半年に一度は、定期健診がてらぜひお顔を見せてください。
生活習慣も含め、お口のケアを一緒にして、健康な生活を送れるようにがんばりましょう!